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文楽に関わる主体は3つ。①国=日本芸術文化振興会、②文楽協会、③技芸員(通称、文楽座)。①振興会は事業規模約200億円、職員数約300人、人件費約30億円。②文楽協会は職員数12人、人件費7250万円。うち3名が市府OB。③文楽座は技芸員82名、収入約5億円。平均約600万円。

公演の8割(東京・大阪で376回)は国が実施(演目・配役の決定と演出、劇場・舞台美術の提供)。文楽協会は残り2割(81回)の地方公演・特別公演の企画・運営と、技芸員の取りまとめを担当。技芸員は個人事業主の集まり、文楽協会と出演契約を結びギャラをもらって出演。

①本公演(東京・大阪)は国が責任を持って実施。文楽協会に4億円が支払われ、これが技芸員に渡る(給料+出張費)入場料で足りない分は持ち出し(振興会の予算)。②地方公演は収入1億円+国の助成金3,000万円を前提として予算が組まれてトントン。③特別公演は収入8千万、利益1千万。

ネタ元は、大阪市特別参与である池末さんのメモです。素晴らしくよくまとまっています → http://ow.ly/cJGUp

この他にかかるコストが、④技芸員養成のための費用5,400万円、⑤文楽協会の運営費用8,760万円。現状はこのコストを、国8,000万円+大阪府2,070万円+大阪市5,200万円で賄っている。問題となっているのは、この大阪市の補助金。

ここでポイントは「文楽座が努力を怠って入場料が減ったから大阪市の税金に頼らざるを得なくなっている」というわけではないこと。最初から国・大阪府・大阪市(当初はNHKも)が各々一定の役割を担い、資金拠出することを前提に、全体の収入・費用がマッチするように計画・運営されている。

入場者数+入場料が減った場合のリスクとコストを負担しているのは興行主である振興会と地方公演を実施する各劇場。大阪市はもともと技芸員養成と文楽協会の維持費という間接費を負担する役割。もし大阪市が補助金を負担しないのであれば、5,200万円分を入場料に上乗せして確保する必要あり。

大阪市が「撤退」した場合には、前述したように本公演+地方公演+特別公演、全体の出演料収入が約6億円なので、約8%「値上げ」をする必要あり。入場料に転嫁するなら、5,200円の席は5,600円、6,500円の席は7千円強か。なんとかなりそう。

橋下市長は注文をつける相手を間違えている。収入の8割を占める本公演について、演目・配役の決定/演出/広告宣伝はすべて振興会=国が責任を持って実施している。市庁舎に呼び出して公開で質疑を行うべき相手は一義的には振興会の職員。でもこれではテレビ的に絵にならないし。話題にならない。

二義的には、残り2割の公演について責任を持っている文楽協会。しかしこれも人間国宝を筆頭とする技芸員=文楽座とは異なる。文楽協会は近鉄グループ会長を理事長とし、事務方トップ3名は府・市のOBとする、たった12名の組織(3名が今年定年退職なので実際は9名しかいない)。

文楽協会の事務局長=市のOB職員を呼び出して叱責しても、これまたテレビ的には絵にならない。そこで、人間国宝を「世の中の変化に対応せんと努力せず高給にしがみつこうとするスノビッシュな高齢者」とのカリカチュア(風刺)を試みたところ、大当たり。テレビは大喜びして報道。市長は味を占めた。

大阪市の予算規模は一般会計+特別会計合わせ3.6兆円。文楽への補助金5千万円は約10万分の1(計算合ってる?)。これだけ執拗にやるのは時間の無駄。政治的パフォーマンスとしか説明できない。文化人たちがこぞって反対の声を上げたのも自身を「大衆の見方」と位置づけるのには都合がよかった。

特別参与の池末氏は状況を極めて的確にとらえており、提言内容も妥当(但し、主たる主張相手はあくまで国=振興会であるべき) → http://ow.ly/cJIQW 市長も徐々に全体像を正確に理解し、ソフトランディングに向かう様子も見せた。

DVDで昨年夏の「杉本文楽」を鑑賞し、称賛に声を寄せた(但し、改革派・モダンな文楽として)。文楽劇場に2回目の鑑賞に向かった際のコメントも、杉本博司の受け売りだった(最後の心中シーンがあっさりしすぎていること、主たる人形遣いも顔を隠すべきこと)。落としどころを探ろうとしていた。

そのためには従来から主張している公開での人間国宝との面談が必須。さすがの市長も80代の人間国宝を公衆の面前で叱責する真似はしないだろう。人間国宝自身も応じる意思を示した。しかし、文楽協会は公開での面会を拒否。技芸員たちも師匠が公衆で侮辱されるリスクは取れない。議論は平行線。

橋下市長は究極のリアリスト。原発への対応でも見た通り、ポピュリズムを煽るだけ煽りつつも、最終的には正しい結論へ落ち着く。メール検討状況を見ても、真摯な姿勢で議論を来てきたことが分かる。市長とやり取りをした某大臣は「渡した膨大な資料を全て読み込んできた。凄い。」と称賛していた。

そこで文楽ファンの私から落とし所の提案。①市長は技芸員の代表だけでなく、振興会と文楽協会の代表を一堂に介して、公開の場で会談を行うことを提案する。振興会の茂木理事長が音頭を取って、文楽協会の山口理事長と文楽座代表(今だったら鶴澤清治さんか)へ協力を仰ぐ。

この際、市長は「人間国宝の給与を開示しろ」とか「貴方の給与を下げて若い人の給与を上げろ」といった、文楽全体の本質的な問題とは無関係の発言をしないことを約束する。

②大阪市の厳しい財政事情から大阪で生まれた伝統芸能へのコミットメントを下げざるを得ないことを認めた上で、振興会と文楽協会とともに、いかにして大阪市の補助金分を補てんすべく収入を上げるかを前向きに議論する。

③すぐに思いつくのは大阪公演の日数を減らして東京公演を増やすこと、④入場料を上げること(前から30列目くらいまで1等席とするのではなく、前から10列目までを1等席として値上げする、など)、⑤サラリーマンが来やすいように平日公演の夜の部を18時開始にする、など。

増えた分の入場料は現状のままでは劇場=振興会にすべて行くことになるが、そうはせずにに公演収入増として文楽協会にパススルーする。

振興会は広告宣伝について助言をするアドバイザリーボード(諮問委員会)を設けて、民間の有識者を招きいれる。そこには新しいネット生保のマーケティングを頑張ってきた副社長も招聘するw

テレビ視聴者も文楽バッシングはそろそろ飽きてきたので、パフォーマンスは終わりにして、皆で一堂に介して大阪発祥の素晴らしい伝統芸能の振興について建設的な議論をしましょう。市長のお陰で、多くの国民が「いっちょ観に行ってみるか」と思ってくれているはず。これを使わない手はない!

文楽が素晴らしいとかつまらないとか、そういう各々の主観と感情をぶつけ合うのは終わり。そういう問題ではない。文楽は一定の公的な補助を必要とせざるを得ないし、国はその役割を担うと言っている。大阪市がこれまでの役割を縮小したいのもやむを得ない。これらを前提条件として、最適解を見出そう!

以上、サッカー日本男子の感動的な勝利をきっかけにハイな気分で続けた、文楽ツィートでした。皆さん、ごきげんよう。さよなら、さよなら、さよなら。

実は同様の内容を、大阪市の池末レポートには既に書かれているのですが → http://ow.ly/cJKvl 市長は確信犯的にこれまでの騒ぎを演出しただけだと信じています。

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Twitter / totodaisuke:Daisuke Iwase (via clione)

(clioneから)

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